最近、ホンダのニュースを見て「えっ、大丈夫?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
実は、ホンダの売り上げ自体はこれまで順調でした。しかし、今年度の業績見通しで、上場以来初となる最終赤字(最大6,900億円)に転落する見込みだと発表されたんです。
利益を押し下げた最大の原因は「EV事業の開発中止に伴う巨額損失」。
ホンダは3月12日の会見で、北米向けに予定していた「Honda 0」シリーズなどのEV3車種の開発・発売中止を発表しています。これに伴う設備の減損などで、今後2年間で最大2兆5,000億円という、ちょっと想像もつかないような損失を計上する見通しです。
そもそも、なぜホンダは「EV全振り」だったの?
かつてのホンダは、世界中の「EVシフト」の波に乗ろうとしていました。当時の世界情勢を振り返ると、そうせざるを得ない空気感もありました。
- EU(欧州連合): 「2035年までにエンジン車の新車販売を実質禁止する」という、かなり強気な目標を掲げていました。
- アメリカ: バイデン政権が手厚い補助金でEVを強力にプッシュしていました。
- 中国: 国策としてEVメーカーを乱立させ、2024年には政府補助金もあって、世界のEV販売の6割以上を占めるまでの「EV大国」になりました。
ホンダが「これからは電気の時代だ!」と脱エンジン宣言をして、エンジン開発をやめてまでEVに突き進んだのも当時は「時代の先読み」に見えたものです。
急展開!世界が「やっぱりエンジンも必要かも」と方針転換
ところが、ここ1〜2年で風向きがガラッと変わりました。
- EUの軟化: 2025年末、EUは「2035年禁止」の方針を事実上修正。一定の条件を満たせば、エンジン車の販売を継続できる柔軟な路線に切り替えました。
- アメリカの方針転換: 第2次トランプ政権の発足により、EV購入への税額控除(最大7,500ドル)が廃止に。これで一気にEVの「お得感」が消えてしまいました。
- 中国の「EVバブル」崩壊: 補助金も終わり、激しすぎる価格競争により、かつて500社あったEVメーカーは約100社まで激減。補助金を獲得するために売れていない車を売れたように見せかけたEV車が広大な土地に放置される「EVの墓場」は、まさに熱狂の跡そのものです。
トヨタとホンダ、明暗を分けたのは「柔軟性」?
ここで対照的なのが、ライバルのトヨタです。 トヨタはずっと「EVもやるけど、ハイブリッドもエンジンも大事!」という「マルチパスウェイ(全方位)戦略」を貫いてきました。「古い」と批判された時期もありましたが、結果として現在のハイブリッド需要の爆発に完璧に対応できています。
一方のホンダは「2040年までに脱エンジン」という高い旗を掲げたことで、足元のエンジンやハイブリッド開発が手薄になったため、これまで得意だったアジア市場での競争力が低下した。という見方もできるかもしれません。
まとめ:ハシゴを外されたのか、のぼり過ぎたのか
不思議なものです。数年前まで「エンジンは悪」と言わんばかりに、世界中の政治や市場がホンダをEVへと向かわせていました。ホンダ車のファンも期待をしていたと思います。ところが今や、世界は「やっぱりエンジンも必要だよね」と鮮やかな手のひら返しを見せています。
ハシゴを外された被害者なのか。それとも、周囲の声を信じすぎて一人で高く登りすぎてしまったのか。皆さんの目には、今のホンダはどう映っていますか?
ただ、どんな状況であってもホンダは世界に誇る技術力を持つメーカーです。培った技術力を武器に、カーボンニュートラルを実現する革新的な「新世代エンジン」を必ず見せてくれるはずです。
【参考記事】
- ホンダ、EV戦略を見直し北米向け3車種を開発・発売中止! 最大2.5兆円規模の損失試算、ハイブリッド強化へ(Motor-Fun)
- ホンダのBEV「0シリーズ」が開発と発売を中止、事業性厳しく関連損失は2.5兆円に(Motor-Fan)
